2.エアコンの後付け設置にはご注意を!
ある新築住宅の建築主からエアコン設置を大手家電量販店に頼んだところ提携工事業者がどうも筋交に穴を開けたようなので一度見てほしいとの依頼がありました。 建築主によると庭先に丸く切り取られた木片が落ちていたそうです。 早速調査を開始すると、やはり筋交いが切り取られているようなので、工務店さんにとにかくエアコンを外し、クーラースリーブから冷媒管を抜いて確認するよう指示しました。すると明確に筋交いが切り取られていることが判明しました。補強方法を工務店さんと相談したところ筋交いを交換せずに内壁を構造用合板に張り替える方法を提案されましたが、私は新築でもあり、構造強度及び金物等の変更も生じるので、原設計通り筋交いの取替え工事を指示しました。写真説明にもあるように大変手間のかかる手直し工事となりました。 |
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一見何の問題も無いように設置されたエアコン | 庭先に落ちていた丸く切り取られた木片(室外機の上) | クーラーースリーブから穴が開いた筋交いが見える |
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内壁を撤去すれば筋交いは丸く穴が開いていた。これでは耐力壁としてまったく役に立たない危険な状況である。 | 交差筋交いの奥側に穴が開いているので、破損していない手前の筋交いも撤去しなければならなかった。 | 両方の交差筋交いを新しく差し替え金物も付け替えて断熱材を敷きこみ、天井石膏ボードをはり、内壁石膏ボードを張り、最後にクロスを貼ってようやく完了。 |
このようなミスは他にもよくあるようです。通常ならば、エアコン取り付け業者がクーラースリーブの穴あけ工事中にやわらかい壁(空洞)から硬い筋交いにあたった時に感触で判断できるのですが、経験不足の若い業者では分からない可能性があります。今回は大手家電量販店が保険に入っていたおかげで建築主は追加費用を出さなくてすみましたが、もし、建築主が庭先に丸く切り取られた木片を見つけることができなければ、と想像すると本当に恐ろしい出来事でした。 |
当方の設計ではエアコン設置は最初から設計に含まれていますので、こんな問題は生じないし、もし後付け設置の部屋があったとしても、最初からクーラースリーブを設置しています。後で穴を開けますと、壁内部の断熱材等がばらけて、結露の原因となるからです。 |
このようなミスを無くすには、エアコン取り付け業者に筋交い位置を教えること或いは筋交いが記入された図面を見せること。また、図面も無く、筋交い位置が分からなければ、作業開始前に「筋交いに注意してください」と注意することが重要です。または、地元の信頼できる電気店にお願いするか、地元の信頼できる工務店にお願いすることです。でも、どうしても大手家電量販店の「エアコン激安特価で取り付け無料サービス」に魅力を感じてしまう場合はエアコン購入時に特約として筋交を破損しないことを明記し、かつ保険に入っていることを確認しましょう。 |